圭子の月あかり







圭 子



目   次

テレパシー       惜 別 新 圭子の俳句  橡集 秀句鑑賞

鎮 魂 と慕情

猛暑の別れ 

 年末・年始通信(KathieKeiko correspondence)
































テレパシー

 私の姑、リヨさんは明治41年生まれで、104歳の天寿を必死で全うされているところです。彼女が入院されたこの最晩年に私は、はからずも一種の心霊現象を体験することになり、人と人との心の繋がりの深化を強く感じました。夫も間違いないとそれを確信して、彼のホームページに掲載してはどうかと乗り気になり、これを機に岩国のひらたん氏と相談しながら、私専用のコーナーを新設してくれました。

 リヨさんは、少女時代に、防府市右田の毛利男爵家に仕えられ、教養がある、折り目正しく思慮深い優しい方でしたが、庶民的な炊き込みご飯やお寿司類が大好物でした。ご自分でも上品な味の深い押し寿司をつけたり、巻き寿司を作ったりしておられました。夫の記憶では、戦後の物資のない時代でも彼の誕生日には、必ず遣り繰りをして手作りの巻き寿司を食べさせてくれたという事でした。夫が郷里を離れ、宮崎県に就職するまで毎年欠かすことなく続いたと言います。

 私がお母さんに未熟な料理を味わってもらうようになってから、ずいぶん気を遣われた事でしょうが、私の手作りに、その特長を挙げて必ず褒めて下さり、「圭子さん、もうちょっと酢をふると味が引き立つ」などの心温まる助言もよく頂きました。全面的に私が彼女に食事を出すようになってから、飽くことなく4日でも連続して寿司を楽しまれました。4日目の朝など、白御飯と並べてどちらにされますか、と尋ねれば答えはやはりお寿司という程に、尋常の度を越えていて、寿司が残り少なくなると夫と阿吽の呼吸で、お母さん専用に取っておいたものです。


 『どういうのかな。目が会うと、「お水、水、」と毎日言い続けて来たのが、4,5分鼾をかいているなと思っていたら、目を大きく開いて、「お寿司」と言ったよ』と、お母さんの看病から帰宅した夫の言葉で、今晩はお寿司をつけましたよと言うと、それだろうとなりました。

 入院療養中に心筋梗塞が発症して追い打ちを掛けるように腎不全と心機能が最悪となり、「絶食」として水分は口を湿らせる程度という医師の指示の下で、10日近く経っていました。たまたまその日は、卵もあるし、白御飯も食べ切っていたので、今晩は散らし寿司にでもしようかと、午後7時前に炊き上がった御飯に寿司の具材を混ぜていると、昼過ぎに見舞ってお世話したお母さんの様子が浮かんで来ました。

 酸素を鼻栓で吸入しながら、両手にミトンをはめてベッドの柵のポールに括った状態で、上から点滴が注入されています。体力が落ちて「語」しか音声になりませんが、104歳でも、嫁や孫がはっきりと識別出来て、元気な時は大変遠かった耳が冴えています。「お母さん、圭子です。」と上から呼びかけると目を開けて肯かれました。「お水」と求められました。顔を拭いてあげると嬉しそうな表情をされました。その姿を打ち消すように寿司を混ぜながら、3キロばかり離れた病院の方を向いて、美味しく出来上がっても「絶食」のお母さんには食べさせては挙げられないと思うと、残念で胸が熱くなりました。夫の報告では、丁度その時刻に「お寿司」という言葉が彼女の口から聞こえたことになります。『彼女の意図がその表情に鮮明であったよ』と夫が振り返ります。

 お母さんがうとうとされた短い時間の夢に私が寿司をつける姿が浮かんだのでしょうか、凍てつく寒風をものともせず、3キロを越えて寿司の甘酸っぱい香りが彼女のベッドに届けに行ったのでしょうか。夫が晩酌の後で味わいながら、『何時もより酢が少し足りないね』と言いました。何時も通りお酢は十分入れたはずでしたが、、、


 これは、単なる偶然では片付かないような気持ちが次第に強まって来ました。ここ十数年来、私はお母さんを防府に訪れる度にお寿司をつけてあげました。お母さんと私は、嫁と姑の間柄で、随分気を遣って頂いたことでしょうか、[圭子さん=お寿司]これはしっかりとお母さんにインプットされていることは確かです。しかしそれはテレパシーでは無いでしょう。若しテレパシーと呼べるのであれば、今回のどこがそうなのかと思いを巡らして、彼女の短い夢の直後の「お寿司を食べたい」というお気持ちと私が寿司つけても、食べさせてはあげられないと流した無念の涙の同時発生にそれがあるのだと結論づけました。


以心伝心」という言葉は、思春期になって以来、人間関係で事あるごとに、よく遣ってきた記憶があります。心が心に直接あることを届ける。この現象が西洋では、夫が悪乗りして調べた英々辞典によりますと、telepathyとして、意を決して表現されるようになったは、19世紀後半とあります。
 風前の灯、俗に言えば、棺にどっぷり額まで浸かっていても、人の心の繋がりは決して消滅しない、それは来世まで続いて、心霊は不滅なのだと思われてきました。亡き人を思い、亡き人に語りかけることの意義がよくわかりました。
これを記しながら、お母さんの奇跡的な起死回生をひたすら願いお祈りしているところです(2013H25 1 23日記載)

付記

[telepathy]について夫が以下のような情報をくれました英文のままで失礼致します

Oxford English Dictionaryより:
  [f. tele- + Gr. -πθεια feeling, perception: see -pathy.]
 The communication of impressions of any kind from one mind to another, independently of the recognised channels of sense’ (Myers Human Personality, Gloss.).
 
1882 Myers in Proc. Soc. Psychical Research I. ii. 147 We venture to introduce the words Telæsthesia and Telepathy to cover all cases of impression received at a distance without the normal operation of the recognised sense organs.

 Oxford Advanced Learner’s Dictionaryより:
 the direct communication of thoughts or feelings from one person to another without using speech, writing, or any other normal method

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 惜 別

 

京子さんへお別れの詞

 

京子さん、あなたは積極果敢の中に優しさを備えた有言実行の方でした。

高校は同期の卒業ですが、都城五十市中学校で初めて同僚として勤務させて頂きました。

生徒一人一人の長所を伸ばしながら、能力を引き出すことに細かく目配りされて、寸暇を惜しまず生徒に接しられました。その方法は、教育の在り様の本質を示し普遍的なものだったと思います。そして、生徒から厚い信頼を受けられ、当時都城地区の悲願であった学力向上に多大な貢献をされました。

五十市でのご一緒はわずか3年間でしたが、深い生徒愛信念をもって指導に当たられるお姿に深く感銘し、同級生というより、先輩のように尊敬の念を抱きました。その後、職場が違っても、五十市の会など機会ある毎にお会いするようになり、その度に新しい知恵や情報を授けていただきました。

最愛の息子さんお二人の成長のご様子もお話して頂き、頭ごなしなどではなく、ご主人と二人三脚で、しっかり考えて決断、行動するように、温かく見守りながら自主性を育てておられる様子がひしひしと伝わり、いつも感嘆していました。退職されてからは、花嫁修業さながらに、書道、華道、卓球などの趣味を生き生きと楽しんでおられました。

 

そんなある日 突然、難病にかかっておられることが分りました。息子さん達の助言を素直に受け入れられながら、冷静に、敢然と病魔に立ち向かわれました。それはものすごい気迫でした。流石は京子さん、なんとしても、打ち勝って下さいと、皆んなで心から応援してきました。

 

一昨日、訃報の電話を受け取りました。 どうして、どうしてなの、 一瞬茫然となりました。今になって、もっともっと頻繁にお会いすべきだったのにと、いくら悔やんでも悔やみ切れません。

 

長い間に亘って、京子さんから頂戴した人生の沢山の宝物に深い感謝の念を捧げながら、せめてお別れの詞でもと、ご遺族に申し出て心広くご承諾頂きました。

 

私がご一緒するか、京子さんが戻ってこられるか、とても離れ離れになることには耐えられません。 しかし現世でのお別れが、とわの離別ではないと思い直し西方浄土にもやがて五十市の会を作られ、また語り合えることを硬く信じて、意を尽くしませんが、ご冥福を衷心よりお祈り申し上げながら、お別れの詞とさせていただきます。京子さん、長い間本当にありがとうございました。さようなら。

          平成27年11月8日

圭子

 
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 震災前
 



閖上(ゆりあげ) 鎮 魂 と 慕情

 
  震災5年後


 青葉沁みいる昨年五月薫風香る仙台を同窓会で訪れた。念願を実現する千載一遇の機会として、四年前の震災跡地の復興の様子を束の間ながら視察した。期待は多少あったが、初めに結論ありきとすれば、愕然として唖然、茫然自失となる。

 
日和山からの眺めは、閖上地区を見渡す限り空虚である。津波の怖さ、槌音一つしない静寂に立ち竦み、無気味な危機感に襲われた。そして、偶然、仙台文学館主催 第十八回「言葉の祭典」短歌の部最優秀作に出合う

      
 閖上の浜で漁師をしたる父

           節高き手を我は愛せり  (宮城野区 紺野みつえさん

 一読してここに震災の全てが詠まれていると深く感銘し、思わず涙した。
 歴史ある
閖上浜への哀惜、それを奪い去った自然への畏怖に加え、誇りとする漁業で節くれだった手を持つ、父を始めとする漁師達の多くが奪われた命への、遣る瀬無い鎮魂と、浜への切ない慕情がひしひしと迫る。

  そして更に、能楽「名取ノ老女」が震災五年目の本年三月下旬、国立能楽堂で復曲上演される予定を知る。震災で打撃を受けた名取市が作品の舞台となり、一途に神に祈る老女の姿を主題に描き、震災からの復興と再生への願いを重ね合わせる。[能楽部原文 藤浪繁雄]


       
閖上や 弥生めぐり来 人恋し  圭子


 不安と焦燥が募る。
閖上浜は農地と住宅地が隣接していた。塩害終了を待つのか、私の胸に沈殿した被災地全体の再生遅延への気味の悪さは、他に起因するのではと思巡らす。ここ数年の世情から、政治と国民が雪崩を打って本末転倒の価値意識へ落ち込んだ。そして政権が高みの見物なのか。

  七十年前、荒廃と焦土からの懸命な復興を目指した庶民の目線は、憲法が高らかに宣言した希望と理想にあったことを懐かしみながら、閖上の一刻も速い再生をひたすら願っている。
          

        平成 28年1月 21日
                        熊野圭子








 
<南極の氷>
 猛暑の惜別


カツ子さんへお別れの詞
 
<ブータン>


灼熱の盆を終えて夫の里から帰り着くと、ファックスが届いていました。カツ子さん、貴方が突然の孤独死をされていたと知り、茫然としてしゃがみこみました。カツ子さん一体何があったのですか。何時もあんなにお元気でしたのに。さぞ苦しかったでしょう。さぞかし寂しかったことでしょう。傍にいて、救急車やお姉さん達に連絡してあげたかったです。美沙さんに電話して真夏の悪夢ではないとわかり、もう言葉になりませんでした。

 今年の春、カツ子さんとの電話で、貴方が今年もまた、秋には皆で山陰地方へ旅をしましょうねと言われたことが、まるで昨日のようです。それなのに、どうしてこんなに早く、終の旅に出てしまわれたのですか。私には受け入れることは出来ません、、、
 
 カツ子さん、貴方は緻密 几帳面で、しかも気さくなお人柄でした。英語の指導力は抜群で、母校の泉ケ丘高校の学力向上のために是非招聘しょうとの動きもありました。生徒達からも全幅の信頼を得て、慕われておられました。

 五十市中学では、同じ学年を担当することはありませんでしたが教職員互助会の旅行ではよくご一緒させて頂き、四方山(よもやま)話に花を咲かせましたね。其の折にふと、大学卒業以来、一緒に暮らしてこられたお母さんの事も話題にされて、親孝行をなさっているのだなと感じ入りました。お母さんの晩年には、まだ介護制度も無く、心痛されたにも関わらず、いつも笑顔を絶やされませんでしたね。
 お母さんが、百歳を越える文字通りの天寿を全うされたということは、子供さんの愛なくしてはあり得ない時代でした。同じ人間同士としての痛みを共有する連帯意識、産み育ててもらったことへの報恩の強い思いが必要で、あなたはそれを懸命に実現されました。
 
 退職後は、国内外を問わない各地の旅行で見聞を深められ、五十市の会や「ほおずきの会」の集まりでは、様々な経験や異文化の様子を披露して下さいましたね。広い地球を、南極の氷からヒマラヤ山脈のブータンまで所狭ましと足跡(あしあと)を残されました。
 
 何時も貴方がリーダーシップを取られて、私たちを旅に導き、「ほおずきの会」の親睦を深めさせて頂き、人生を充実させて下さいました。本当に感謝しています。

 旅だけではなく、末子さんのアトリエで絵を楽しみ、長寿を目指して清子さんとヨガを10年も継続して来られ、最後のヨガが今月の3日となったとお聞きして、悔しいです、無念です、、、

 昨年京子さんが「千の風」に、引き続いてカツ子さんが「黄泉の国」へ行かれ、残り少ない「ほおずきの会」のメンバーは生きる(よすが)を失い、途方に暮れています。

 今日のこの断腸のお別れは、きっと来世での再会に繋がると信じて、拙い詞でしたが、カツ子さんのご冥福を心からお祈り申し上げてお別れとさせて頂きます。
 
 カツ子さん、長い間本当に有難うございました。私達の友情の絆は不滅です。


         [追悼歌]

            ただ一人 急ぎ隠りし わが友よ 夢多かりき 旅路偲ばる


                     平成28年8月23

                                               圭子



                亡き友の 形見のショール おろしけり     28年12月 圭子
                                  
                                                          
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 年末・年始通信(KathieKeiko correspondence)
                How it started.

 通信文 西暦年度 message in the year of Christ, AD

 2017  2016  2015  2014 2012   2011  2010  2009
































 

年末・年始通信
                    ChristmasNew Year correspondence

 How the correspondence began  

 

  In 1951, six years after Japan’s complete defeat in the World War II, they first came
to Japan as a protestant missionary and lived with us for just a month. Those days

Japan’s postwar rehabilitation, mentally and physically, was far from perfect.
 We, including neighbors, sometime faced difficulties in getting basic necessities of life.  General shortage was not yet completely eased. Proper goods were not always affordable for us common people.

 
The missionary family were very affable, though none of us had abilities of English, hearing nor speaking, but Mr. and Mrs. Woollett had a good command of Japanese. By watching different culture and life style, we led pleasant daily lives. Kathie was three years younger than me. We two were soon on friendly terms with each other.
 
After they left Japan, expiring the term as missionary, I missed Kathie badly. Mrs. Key Woollett sometime wrote to my mother in Japanese, not on every Christmas.
 It was December, 22, 2004 that I got the first Christmas card from
Kathie. From then on, every 24 December, I got a ‘Merry Christmas to Keiko’ card from her.
 My husband, retired English teacher, takes the trouble to translate my answer to her into English, complaining that his English vocabulary is getting more and more limited.
 
Kathie retired an elementary school teacher and married very late, now living a happy life with her husband Peter.

 

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     December 2017


                                                      


Dear Keiko,

    May the quiet peace and gentle love

         of the first Christmas
         be yours today and always.
                            
  Peter and Kathie

  How is the pain in your waist? Did the acupuncture treatments help?
  I fell on back twice in January, but the doctors found a more serious problem, so I’ve
 had many trips to the Emergency doctors and three hospitals as well as a month of

 rehabilitation. Jesus has healed me of the more serious problems!


  

 

 

                                December 26, 2017

 

Dear Kathie,

 
Thank you for your Christmas card. I got it December 19, Japanese time, a little
amazed a
t its being earlier than usual. And I feel a lot of sympathy for you to know that you’ve been in a severely bad situation for some months. At first I found myself at aloss for words of consolation to you and Peter. Finally, knowing you finished your card by saying, “Jesus has healed me of the more serious problems!”, I’m now greatly relieved and willingly give you my congratulations.
 While reading your card, I thought it was the only bright spot that in the accident you did not hit your back of the head on a hard stone or a concrete block, etc and also, what got me really worried about you was, doctors discovered you’d been in serious health problems without knowing of it. I don’t know what they were, but, seen from a different angle, you didn’t become aware your problems were very serious until the accident:—falling on your back twice in January. Without the accidents, your health would be still in a severely bad situation.
 Briefly, you and Peter could say ‘something unseen’ turned your misfortune into a blessing. Please stop and think, “what’s something unseen?” It’s not your Jesus, nor by chance. It’s in everyone on the earth, Christians like you, Buddhists like me, people in the Islamic community, and so on. The answer is a simple one; as for you, your own deep and wide thinking and positive attitude, your courageous fight against your newly detected problems, and last but not least, Peter’s whole-hearted support to you.
 As the New Testament tells us, healing ofdiseases is the miraculous work of Jesus and God helps those who help themselves.
 I believe you tried to do your utmost to get over them together with Peter and doctors, and successfully survived them with the help of God, and I’m sure, you’ll outlive your mother Key.  I’m happy you’ve made a good precedent of turning a misfortune into a blessing.Your strenuous efforts and hearty religious daily living style and firm belief in Jesus has created a good precedent, I fully believe.

  As for me, I underwent a lens transmission operation for my senile cataract of both eyes October 3, and 5. Both the treatments were given without a speck of misstep. So I can now see the world very clearly. Luckily, there have been amazing advances in the treatments of cataract. The operation took only ten or fifteen minutes and during the time I felt little pain.

I thank you for your consideration to my husband. His pain in the waist is step by step subsiding by the regular acupuncture treatments. But, sad to say, I’ve been feeling a pain in the waist. It was caused by a hard long-time cleaning of the window-panes of my house, climbing up and down the ladder. They were very dirty after the typhoon.
 My husband kindly advised me to receive regular
acupuncture treatments from his doctor. The treatments are effective but to prevent the pain getting worse, I won’t trip anywhere, staying in Miyazaki City and he is now in Hofu City in Yamaguchi Prefecture to spend the period before and after New Year’s on his home island in order to worship at the grave in his family temple.
 The kind of separation is our first experience in marriage life.

 We try to eat soybean, peanuts, chocolates after every meals every day to get aged brain more and more active. They say, curry is good for the hippocampi. We believe in it, and we eat a chicken or a beef curry mixed with boiled rice every day. In Japan the old saying goes, “those who believe shall be helped.”

 My older sister “Etsuko” has long been suffering from Parkinson’s disease, though
yet with good memory, sound judgement and right recognition. She goes to day-service in a nursing home for the aged once a week. Her daughter “Kuniko”, a first class registered architect, is taking care of her. October 22, we celebrated  “Etsuko”s 90th birthday with Japanese meal and wine, and she was presented a little gift and a tanka poem and haiku created by my husband and I.

 People often talk of global warming but winter is winter. Let’s take care not to get flu.I heartily wish you Merry Christmas and a Happy New Year. Please live 2018 safe and sound, taking care of yourself and tripping to places far and wide, including particularly where you expected to have done early in 2017.

 Please give Peter my best regards.   

Sincerely,

PS:

   If you should meet a sad thing, or something unpleasant befall you, please let me know as soon as possible by e-mail.

    Keiko’s: k36@miyazaki-catv.ne.jp    huband’s: hokuto77@c-able.ne.jp

                       <curry and rice>from Wikipedia>

 
     

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   E-mail to Kathie and Peter 2016  

                                                                               15 December, 2016

Dear Kathie and Peter

 What a rare crossing coincidence!  Yesterday, on December 14, I posted you Christmas card with some sweets as a Christmas present, and on getting home, to my great surprise, I found I had received your air mail Christmas Card during that short time absence.

 My husband and I are much relieved you both have survived your serious surgeries. Especially for Peter, the sooner treatment, the safer return to usual daily lives. I believe it’s all because you are a deeply religious couple.

You have enjoyed short trips, one after another in spite of your respective therapies, and you are planning to try many more in 2017.   We hope they will lead you to live a happier life than last year.







 May the bliss to the World!

     I bring you good tidings of great joy,

      which shall be to all people.

      For unto you is born this day

      In the city of David a Savour,        

        which is Christ the Lord.

                                    ~ Luke 2:10-11

   Celebrating,

     The glorious birth of Jesus
   
and wishing you a Christmas
  
filled with His goodness.


                  Kathie and Peter

      Thank you for explaining all about chirashizushi!

 The synopsis of the report by Peter and Kathie in 2015,16

  *On August 17 in 2015, Kathie’s left knee replacement surgery went well.

 *On February 6 in 2016, Peter had a precursory to a heart attack.

    On March 8 in 2016, a triple heart bypass operation went well.

      14 December 2016

Dear Kathie,

 I wonder if you’re still trying to do daily exercise, though you’re busy with housekeeping. I’ll be very happy to know you’ve been in niceconditions throughout 2016.
Somehow or other, thanks to our health check, my husband and I are well since January first,
2016.
As for me, at the end of March this year, I retired from the work to help mentally disabled people in a facility do job-training or elementary study. I was engaged in it for 15 years. Thinking back to those years, I realize I lived a full life and very happy owing to that meaningful job, where staffs, disabled people and myself all had a good time trusting each other completely.
To my big delight and a little loneliness as well, 12 October 2016 was my eightieth birthday. Here in Japan it is celebrated as 傘寿(san-jyu) by
family and friend.
 PC, walking in the pool and haiku poems (making and reading) are tasks which I do nearly every day as a matter of routine. But a pity my husband and I feel pain in waist because of poor forward bending posture while weeding; my husband in his garden in Hofu city, Yamaguchi, while I in my garden in Miyazaki city. We both are receiving acupuncture treatments in Miyazaki City from the same acupuncture doctor. We’re afraid it’ll take us time to get rid of it. It comes home to my heart that we are so aged we can’t be careful enough of our movements whether in driving, weeding, cooking, cleaning, washing etc.
 
Tasteful newcomers of this year presents are ‘cookies’ made of buckwheat flour and ‘kon-pei-to’ of Portuguese origin (made from iced sugars and wheat flour). I hope you will enjoy them with Peter.
Christmas and New Year are just round the corner; May you spend happy year-end and hopeful New Year!

                                        Sincerely,

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 No Christmas card, nor tidings on 2015 from Peter and Kathie.


     8 December 2015


Dear Kathie,

  I’m convinced you both are in good health. Kathie, your left knee works well, doesn’t it? I feel a little anxious about it.
 My husband and I are fine, too. I know well that thanks are all due to our careful health check.
 On December 2, together with the people in a facility for the mentally disabled, I
made a Christmas tree decorated with origami paper. They took a lot time to fold respective origami paper of their own choice. But thanks to your white Angel at the top of our tree, we are very happy to see the whole looks very nice. Every December your white Angel plays us the starring role. Fondly thinking of you, I took its picture, which I send you.

 More than 14 years I have helped people in a facility do job-training or study, and we are on friendly terms with each other; now they speak to me frankly, without any hesitation. Surely, good human relationships bring us real happiness.
 As for me, instead of swimming, usually I take an afternoon walk in the pool and once a week I learn how to use my PC in a more efficient manner than the one that I did last, and try to make haikus, worthy of reading, but to my bitter disappointment PC and haiku as well are an unavoidable kind of enemies.
 This year I went sightseeing in three different places with my old friends: Sendai City in the Tohoku Districts, Sado Island, and Oki Island in the Japan Sea.
 
Now I send you five articles. I’m so happy that you were much pleased with my latest presents. A picture of my Christmas tree with your Angel on it including those delighted at it. Happy New Year card, some sweets, sembei (thin sweet bars). Tea leaves, which flavor, as you know, varies from planting place to place.

Yōkan (羊羹),which is a thick, jellied dessert made of red bean paste, agar, and sugar. It is usually sold in a block form, and eaten in slices.

             

Please give my best regards to Peter. I hope you both may have a merry Christmas and a happy New Year.            
                                  
Sincerely

       <to the year AD> 






 


 
     Christmas 2014

A summary of the Christmas letter from Kathie as it follows.

 Dear Keiko,
  Without Christ, there would be no Christmas as we know it. But because God loved the world so much, He sent His only Son to the world to provide a way of salvation. What love!
  2014 was a good year for us in many ways. We’ve been basically healthy and enjoying our friends and neighbors.
 At the end of July, our sons visited us. We took them to Ten Mile Creek to try their hands at trout fishing. Each caught a trout, while Peter enjoyed snoozing in the sunshine.

 Early that month, we were able to camp at south Lake Tahoe with our trailer (British caravan) for ten days. While there we met a new gas buddy friend. (a person who makes you laugh a lot as friend?)
 Near the end of October, we had almost ten days’ camping with our trailer at two different campgrounds at Pismo Beach, California.




             13 December 2014

 Dear Kathie,
 Both you and Peter are in good health, aren’t you? My husband and I are very fine, too. Reading your last year Christmas card, I knew that you were given a cortisone injection in the left knee three times. You said you had a left knee trouble about 11 months. I express you my deep sympathy. Around me in Japan, quite a few aged people have challenges in their knees or waists. Some have helpful shots, others need an operation on their knees. I believe with you that God is always so kind to you, who have been very religious.
 Sembei is easy to smash. If it was tough enough not to be broken into pieces, you couldn’t chew and enjoy it to you heart’s content.
 Please give your eldest niece my congratulations on her two children getting married. I hope they will have a happy married life.

  This year I had a car accident. Just a little before I tried to park my car in the spot of my garden, carelessly I drove into the opposite line. The car running opposite already stopped noticing me.Full absent-minded, I did not even hear his horn blowing, then my car crashed into the other face to face. Both cars got badly damaged but luckily he and I escaped serious injury, getting bruise on the breast. Bones have turned out safe. My husband said there might be some rapid aging in my head, adding that in driving your car you can’t be too careful.

 Now I’ll send you some few articles: green tea leaves, sembei (thin sweet bars, easily
smashed), Origami paper, some few paper goldfish, (which were no easy to fold)
Christmas cards with a picture of Mt. Fuji, Cultural Heritage Site, some sweets, and a picture of my Christmas tree, (which was, as usual, made in the facility for the mentally disabled). Alas! Thanks to my weak
memory, the Christmas tree doesn’t have on it that white Angel of your own making. I feel so sorry for you! I just wish your fresh making two white Angels will be welcomed by your oldest niece’s two children and their newly married spouses.
 My husband and I carry out a memorial service for his dead mother on January 29 next year, the annual return of the date of her death. She has been dead two years.
 Please give Peter my regards. I wish both of you may have Merry Christmas and a Happy New Year.

                                                  Sincerely, yours

  <to the year AD> 


         

 

                                                                      
















13 December 2012

 

Dear Kathie,

  I hope both you and Peter are in good health. I’m very well, too.
made an origami Christmas tree with your last year present at the top, that white
Angel of your own making. The tree looks so nice the people in a facility for the
mentally disabled are very pleased to see it. The picture of the tree and me lets me
imagine as if you and me are together in it. I feel very happy, every time I look at the
picture.

 This year I’ve had a little change in my life style. My husband is suffering his long-
term sciatica pain (zakotsu shinkeitsu). He comes back to Miyazaki City to take
acupuncture treatments and stays with me about two weeks every month, but it will
take him long time to get rid of it. Owing to it, I visit Hofu City in Yamaguchi Prefecture
to help him cultivate vegetables. I myself raised kidney beans and Japanese giant
white radish (daikon), coco-yam (satoimo) from seed and got a good harvest of them.
 My husband happily says “You’re far skilled than me.” Cabbages and broccolis were
planted by me, too. I’m looking forward to greeting them on the 14th of this month.
 
 Stretching, swimming, attending a cooking class, creating haiku poems ━ these
are regularly done as usual. My friends say I look younger than I am.  
 
At Aoshimain Miyazaki City, where I think you still remember visiting once,
I watched
the harvestmoon rising from the Pacific Ocean. The ascending scene of the full moon
was amazing and a moonlight stream floating on the surface was too beautiful to
express.

 In October I went up to Tokyo to take part in a reunion of my college mates and saw
a pair of Pandas eating bamboo grass at Ueno Zoo. It was a very interesting scene.
 I send you some articles. A bead ring, a bead bracelet made by the people in a facility,
and origami papers, pictures, and chopsticks for New Year dishes and some sweets.

 
How was your Christmas holidays?  Maybe beyond description! I’m going to enjoy
the New Year holidays at my husband’s mother’s. Though mentally much weaker than
last year, she, 104, is in good conditions, reading newspapers, magazines and dogs or
cats pictorials. Every day she talks of a dog, which had long been out of her sight.
 Here in Japan, it’s getting colder and colder towards the end of the year, occasionally
with a cold wave. I‘m afraid so is US.

I just pray you may have a happy New Year!

  Sincerely,

     

                             <the harvest moon>
                                

      <to the year AD> 


























 

 

                                     

24 December 2011

Dear Kathie

 Thank you very much for a white Angel doll handmade by you, ‘stars’ and Christmas
card telling me that you both enjoyed
the Westmont choirs and orchestras playing forJesus.
 I’ll cherish the Angel long as one of my treasure possessions. The make is excellent.
I think you are a wonder.
 So spurred on by your craftsmanship that I made a Christmas tree decorated with
origami paper. Yours is far better than mine. But to my joy, with your white Angel at
the top of my tree made of a Japanese fir, the whole looks very nice.

 People in a facility for the mentally disabled were very pleased to see my Christmas
tree with your White angel at the top. A few of their impressions and feedback on it go:

  A white Angel from US has made me happy. It’s very pretty and bright.
 
 Origami paper Santa Claus has a range of expression, which pleased me much and
  I had a good time.

By the way, this year in Japan, as you know, March11, the devastating earthquake
and unimaginable tsunami triggered by it and, what is worse, a manmade monster

horrible radioactive pollution have made us full disheartened. It needs overwhelming
length of time to restore the stricken areas and let the sufferers have dream and hope
for future. All of us heartily wish our next year will be a good year, calm andpeaceful.


 As for me, during New Year holidays l call on my husband’s mother, 103, in Hofu City,
Yamaguchi Prefecture. She is well, though mentally a bit weak.
 Now I send you four articles. A picture of my Christmas tree with your Angel on it
including those delighted at it. Christmas card. Some sweets, sembei (thin sweet
bars). Origami paper.

 I hope you both may have a good Christmas and a happy New Year.

                                                                    Sincerely,

  

        <disastrous scenes as they were in the Tohoku areas, March 11, 2011>


                

                             

   <The Emperor and the Empress visited the disaster areas of the Tohoku earth-quake        and tsunami and prayed for the souls of the departed. Having an active role in        mentally healing the victims, they both encouraged them to be alive and well.>



      <to the year AD> 












































                                                     14 December 2010

 

Dear Kathie,
  Thank you so much for your Christmas letter and nice photos. I’m very happy to know  both of you had a three-week cruise sailing across the Atlantic Ocean and around islands in the Mediterranean Sea. Moreover, the time was April. Probably you had a substantial experience through the cruise.
 It’s beyond my imagination how much you refreshed yourselves with the sightseeing voyage. Cities, fields, hills, or islands etc, faraway or near, seen from the sea, must have been superb pictures. Venice, Greece, Spain and other memorable places where you reached by ship this spring, I visited some years ago by plane. If I am blessed with a good chance, time and money to go there again, I’d love to get there by sea.

 I sometimes call on my husband’s mother, 102, who lives in Hofu City, Yamaguchi Prefecture. She can still read newspapers and sew her own trousers, skirts, etc and knit sweaters very well. She presented me with a sweater of her own knitting.
 My job is reading books for normal children at a nursery school and I help grown-ups suffering from mental retardation get simple ‘job trainings’ suitable for each of them.
 
 I enjoy swimming for health maintenance and losing weight as well. I compose haiku
poems, some of which are praised by the leader or members of the haiku gathering.
 Some are on my husband’s web site as
圭子の俳句 (Keiko’s haiku). Sorry that all are written in Japanese. Probably you can’t read them at all.
 
Now I send you some sweets. I hope you will enjoy them. Please give Peter my regards. I hope you both may have Merry Christmas and a Happy New Year.

                                                                       Yours Sincerely

PS: The following is my husband’s paper-mail to you. It goes:

  How are you getting along? Keiko and I are very fine. This year in Japan, global warming has got us very irritated. In summer it was far hotter than ever and with very few autumnal days we suddenly went into hard winter. Our new government has been wandering out of course, leaving us their voters behind.

How about your country? Large numbers of Japanese people are expecting Obama to visit Hiroshima and Nagasaki. Sorry to say, the President or the Prime Minister is always required to be responsible for what was done years ago by other politicians.

Now I heartily thank you for coming to my web sites. But I feel very sorry it caused you deep disappointment. [Buson](蕪村), the second most famous haiku poet in Japan, is only intended for native speakers of English and Japanese readers are absent from my mind. [Original] and [Guidance] are for Japanese readers and especially the latter for high school students in Japan. I think it’s not your fault but the lack of my ability and skill to make it possible for English speaking people to appreciate [Buson], even if they have no knowledge of kanji(漢字), Chinese characters. If I have any time for improvement of [Buson], I will try my best and when finished, I will email it to you. I hope my life will be prolonged much longer.

                                  Yours truly           Shoji Kumano  (hokuto77)
   

                 <scenes from a cruising ship in the Mediterranean Sea>         


      <to the year AD> 

 





                                                December 14, 2009
 

Dear Kathie,
 My husband and I are getting along very well. My job is supporting children with early infantile autism and reading books for normal children at a nursery school and I help grown-ups suffering from mental retardation get simple job trainings suitable for each of them.
As I’ve told you before, I enjoy swimming, producing haiku and learning how to use a PC, which is very pleasant but no easy for me to master.

My husband’s mother is 101, staying in Yamaguchi Prefecture with him. I visit and cheer them up every other month. My husband is very sensitive to her sudden illness and on detecting it, he takes her to the hospital. A bit of worrying, lately he sometimes complains of her care.
Now I send you Japanese style ‘origami’ paper which can be folded into various figures, like ‘origami cranes’, paper bags for ‘waribashi’, or dispensable chopsticks and some sweets. I hope you will enjoy them.
Please give Peter my regards. I heartily wish you Merry Christmas and a Happy New Year.

                                                  Sincerely,


                   

  <to the year AD> 























新 圭子の俳句 春夏秋冬  <目次へ>

          春の部 夏の部 秋の部 冬の部








































春の部



初日記還暦祝う友来たり

送られる春のアーチや驟雨(にわかあめ)

定年を前に校庭(した)()える

()が挿すや花瓶の土筆(つくし)へてをり









 
春夏秋冬へ




































夏の部



鷹鳴く夜妙高の温泉()に浸りけり
長梅雨の泥湯に(おうな)話し込む


西安に残して来り夏帽子

牧草のロール青々雷激し









春夏秋冬へ




































秋の部



追はれ(さぎ)逃れ一口秋の水
そまびとの薪割る(こだま)秋の谷 ・そまびと:きこり
サーファーの入江に数多(あまた)月を待つ

霧流る北山杉の夜明けかな









春夏秋冬へ




































冬の部



百歳の母と里芋(いも)()く大晦日(H21)

数へ日や乙女きびきび(さかな)


百歳の母挿し開く黄水仙 (H21)





春夏秋冬へ




































秀 句 鑑 賞

鑑賞文:圭子



俳句誌 「月桃」(石川誠一主宰) より

 [絹の道](尾形末子自作句集)鑑賞



庭に咲くもの皆活けて黄金週             尾形末子

 今年は晩春から初夏の我が庭に百花繚乱と咲いている。二人きりもそれなりに多忙である。優しく活けて愛でる暇がない。待ち望んでいた大型連休の好機に、咲いているものを悉く活けた。日頃から心をこめて育ててきた花々に囲まれて幸せである。黄金週ありがとう。(H24)  








淋しかり桔梗抱くほど壺に挿す            尾形末子


 
 あの人が逝って寂しさはつのるばかりである。どうすれば、このやるせない寂寥感を払拭できるのか。気晴らしにウィンドウショッピングをしていると、ふと、
亡き人の好きだった桔梗が目に留まる。変わらぬ愛この花言葉。抱きかかえる程も壺に挿して得た深い安らぎ。(H24)
 









俳句誌 「月桃」(石川誠一主宰) より

[秀句鑑賞]


縄文へタイムスリップ鰯雲                  小牟田京子


  縄文の生活を垣間見て日本人のルーツに思いを巡らし、すっかり縄文人になった。ふと見上げた鰯雲に作者の原点である少女時代の 雲に乗っ遠い昔に行ってみたい等 想像と憧れが蘇って来た。作者の深層心理の一端が年月を越えて重なり合い、広い時空が感じられる。(H24)  









鯵刺のひな覗く友頭をけられ           図師康子


 鯵刺の産卵場所は、宮崎市の海岸の砂地で、少しの窪みを作るだけの簡単な巣である。その巣を友人が覗くとひな鳥がいた。それを透かさず親鳥が気づき急降下して友人の頭を大胆に掠めた。外敵からひなを守る必死の攻撃。瞬間の出来事を的確に捕えて命がけの親心に感動させられる秀句である(H25)     









軒つばめ家庭訪問落ち着かず          曽我部善弘

 時々燕がやって来ては、気忙しく飛んでいる。折しも今日は、孫の家庭訪問の日で、先生来宅の時刻になるが一向にその気配がなく、家人は出たり入ったり落ちつかない。正に動作が速く落ちつきのない様を燕に喩えたユーモアたっぷりの佳句である。(H25) 
  
 










島の子のプールは入り江雲の峰   明野 良子

 島では入り江の海水浴場がプールの役割を担っている。遥かに動かない雲の峰と[透明な海の中で]わずか三語の季語「プール」に、多数の子供達の韻文的な響きを帯びた歓声と熱気がある。そのプールの若い活気に包み込まれてみたいという衝動を駆りたてる雄大な景と臨場感。(H25)
 











初秋や風に音色のあるごとく                 田村 哲朗


 一読すると「秋きぬと目にはさやかに見えねども風のをとにぞおどろかれぬる」の和歌が浮ぶ。少し抒情的。 既に処暑白露を見送っているが厳しい残暑の中にもふと秋の風を体感する時が来た。耳を澄ませば風の音階、強弱に誘われるかのようにリズミカルに色々な場面で秋の進行を意識することとなった。待ち望んでいた秋の訪れを音楽的に捉えた秀句である。      (H25) 
 
 










 宮崎県俳句協会 俳協だより・「野火」より
     
共感句鑑賞(88字限定) *[]は所属俳句団体


村のバスどこでも停まり山笑ふ                         大浦信子[湾]

   手を挙げれば止まってくれるバスのどかな早春の麓をゆっくり進む。春光に映えた新芽は目覚めの喜びを乗る人々に微笑みかける。日本に取り戻すべき笑いと原風景を端的に彷彿させてくれる。          (H26)   








 無心説く和尚の使う団扇かな
             喜多久雄


 一語一語が句の主題、解脱の難しさに収斂する。心を空にして生きるべく力説するほどに心頭滅却に反し和上ご自身の暑さは募る。江戸の諧謔で表現され、一茶、蕪村の流れを汲み迫力も感じる(H26)


 









 秋惜しむ美空ひばりの歌碑の前               脇元律子 [京鹿子]



中七の革命的表現。やがて冬へと移り行く愛おしい時との惜別は、ファンである昭和の歌姫への懐旧とついつい一致する。秋は必ずめぐりくる。碑から響あの豊潤な歌声も私には不滅である。        (H26)

 

  塩屋岬ひばり歌碑








虹立ちて他郷に居着く長子かな         河邊ミドリ [椎の実・鷹]



 息子が卒業して
巣立ったのはついこの前のような気がしていた。ふと、()った虹にもう数か月が経ち遠く親元を離れた生活に馴染んでくれていると安堵感と惜別の情絆を担う虹の橋への祈り      (H26)

 





俳句誌 「月桃」
(石川誠一主宰) より

[秀句鑑賞]

晩夏なりきしむ漁港の舫ひ船           渡邊洋子



微妙な季節の移ろいを繊細に、瞬時に捉え、夏の末の典型はこれだと示した傑作。海浜の人影もすっかり減り、漁港にも高波が目立つようになった。強まった潮風で、舫いの漁船が触れ合いきしむ音は、まるで何かを囁き合っている風情である。遠景は、少し以前とは趣を異にして、くっきりとしているが、まだ素肌に夏をしっかり纏っている感じは否めない。初秋との境界は、温暖化の進行で、秋きぬと、、風の音にぞ、、が一層際立ち、教示的になった。港の船と波の醸し出す音は、秋はすぐ傍ですよと、我々への語りかけであろう。

 



大役を果たし嘶く祭馬               長友昭雄



馬に目線を合わせ、馬の心をやさしく汲み取った情感溢れる秀句である。古来、祭で牛馬が果たしてきた役割は大きい。今に残る祭ほどそうであろう。句の雰囲気から、神宮大祭シャンシシャン馬の重責を、騒音と雑踏に塗れながら最後まで冷静沈着に務め終えた意義は大きい。イナナクは、イ二ア(去)ナクが訛ったとも取れる。早く家に帰りたい、その気持ちも込めた意思表示をした。誇らしいイナナキに限定しない、作者の鋭敏な観察と温かみが滲み出ている。

 










 消え去りし 夢路に拾ふ 落し文

             図師康子

   

 抒情溢れるファンタジー。の夢からもう覚めてしまった。天然の涼を求める小径散策の途次、その季節感に違わず、拾い物はまき葉。過ぎ去りしことへの未練、郷愁ではない。掌には新しい命。あれは、亡き夫からの贈り物だったのか。
 讃えるべき我が命の存続を更に、更に引き継ぐ
希望の象徴としなくては。
 







 如月や 築百年の 実家(さと)に生れ

                明野良子

 

 生を受けた二月が、作句のきっかけ。早春の冷え込みの中に、生れ落ちた築百年の生家。ああ、今は無きその風格を思い起こせば、感慨ひとしおである。
 古民家の、深々とする冷気で
育ったからには、実家の歩みをひも解き、先祖の心意気を我が身に咲かせなくてはならない。
 







春浅し すぐ火のとおる 菜を茹でて

               高見洋子





 大好きな菜を、手塩に掛けている菜園からを採って来て料理してみると、瞬く間に茹で上がった。春とはまだまだ名ばかりで、何時までも冬が未練を残し隣接している。
 体感ばかりではなく、日常茶飯の現象に季節の移ろいを感受する、情趣あふれる秀句である
 






俳句誌 「月桃」(石川誠一主宰) より
[秀句鑑賞]


<以下三句字数制限75字>





身の丈のくらし楽しみ豆御飯              曽我部 善弘


 泰然自若の名句である。無い袖は振らない。手塩にか
けた豆は丸々と実り、ふくよかな香りと柔らかな味の豆御飯を恵んでくれる。
人生の倹しい楽しみに終は無い。
(H 28)

 
 








花桐や刻ゆっくりと西都原            黒熊 邦子



 西都原に営造された古墳群に、時が千数百年以上に亘って悠久を刻んだ今も、咲き誇る桐の花の仄かな香りが、
時の流れの駘蕩感と、わが来し方を重ね合わせてくれた
(H 28)

 
 








育つとは離れゆくこと春の雲           橋本 


 ふと見上げた空に、ふわりと浮かぶ、どことなく脆弱な春の雲。時は巡り、子や孫が成長して親元を離れていく。期待、心配、一抹の寂寥が錯綜し、無限の余韻を残す(H 28)

 




俳句誌 「月桃」(石川誠一主宰) より

[好みの句 二句選択鑑賞]      <字数制限 一句154字> 




リヤカーに二歳児六人花菜道           甲斐 とき


 






 二つの景が、長閑な空気に溶け合う名吟。もう
春だと花の香を吸いながら感慨に耽る。すると幼い声。幼児達が燥ながらリヤカーで近づく。同じ揺れに歓声、同じ話に感動する。天真爛漫、無垢な、騒音と無縁の韻文的な響きが、
春風に嫋やかに靡く菜の花畑に染み込み二者が一体となる。望の花菜の花言葉どおり、快活に育てと祈る。(H 28)


 











夏きざす渚のポスト沖見つめ          福原 紀美子


    擬人化された黄色いポストに詩心を託した秀作。夏は作者にとって、永久に忘れえぬ青春の思い出を連れて来る。それは儚く海の彼方に消え去ったのだが、其処には必ず一世を風靡した夏の日のが流れ、寂寥と濃縮された幸せが漂う。その郷愁はポストを海原に向けラブコールを今から送ると、茫洋の彼方へ凝視を続ける程の強さである。(H 28)  















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